「退職の相談」
ある日突然こんなタイトルで部下からメールが届いた!という経験をされた方は多いでしょう。
あいつ全然辞めるなんて相談なかったし、辞めるような兆候もなかったのに・・・
そうなんです。
会社を辞める人はそれぞれの特徴があり、全く辞める兆候すら見えないこともあるのです。
これまで500人を超える退職者を見てきた社労士が、退職する人の特徴をいくつか紹介してみます。
会社を辞める人の特徴
パフォーマンスが落ちる
以前はバリバリと活躍していた社内でも優秀だった社員がいたとします。
そんな優秀だった社員のパフォーマンスが目に見えて落ちてきたとき、黄色から赤信号になっていると思った方がイイでしょう。
誰もが尊敬するような社員だったのに、最近なんか元気ないな、以前のような圧倒的パフォーマンスが出てないなという傾向が見え始めたら、手厚くケアすべきです。
優秀だった社員のパフォーマンスが落ちる理由は、会社に対する魅力がなくなった、または自分の未来に関して不安を感じている、このどちらかの可能性が高いのです。
前者の場合、自分はこれだけやってるのに会社が評価してくれない的な典型的なかまってちゃん。
ですので、こまめに声をかけて褒め称えてあげた方がいいです。
後者の場合は、精神的に追い詰められているかもしれません。
会社内でこれだけできるのに、他の会社に行って通用するんだろうか?このまま今の仕事でいいのだろうか?そんな迷いが駆け巡っているのでしょう。
こんな傾向が見られたときは、早めに業務の負担を下げてプレッシャーを和らげてあげるべき。
いずれにしても手厚い対話が重要になってきます。
付き合いが悪くなる
あいつ最近飲みに誘っても全然来なくなったな。
明らかに付き合いが悪くなった社員は、同僚や上司との付き合いを避けようとしています。
もう今の会社に居続ける気がないのか?新しい仕事を探しているのか?
どちらにせよ会社のグチ、上司のグチがつまらないと感じているはずです。
今まで付き合いが良かった社員が突然悪くなる時は、かなり要注意。
早めに声がけをして退職に心を向かわせないようにすべきです。
ただ無理に飲みに誘っても逆効果。
お酒という媒体を使わずに対話をしていった方がいいでしょう。
有給休暇の申請が突然増える
体調不良などなく、ほとんど休みを取らなかった社員が、平日にポツポツと休暇申請を出すようになった。
しかも土日や連休に絡めたりしてこない普通の平日にピンポイントでいきなり休みと取るようになる。
これは転職活動をしている兆候です。
最近では中途採用の面接も柔軟になり、業務後や土日に時間を調整してくれる会社もありますが、役員面接など重要な面接はまだまだ平日日中に実施されるケースが多い。
ですので平日休まないと対応できないんですね。
休暇の理由を聞くわけにはいきませんので、それとなく声をかけ踏みとどまるように説得していった方がいいでしょう。
環境が変わる
環境が変わるタイミングで退職を切り出す人は本当に多い。
今まで〇〇支店で勤務していたが、4月からは本店での勤務へ配置異動を命じた。
すると3月末、キリのいいタイミングで会社を辞めさせてほしいという話はよくあります。
おそらくそんな人は、ずっと会社を辞めようか?どうしようか?悩んでいたのでしょう。
悩んではいたけど、一応仕事だし責任もあるし、今与えられた職務は果たさなければならない。
だから辞めるに辞められない。
でも、その責任から一瞬逃れることができる。
責任から解放される。
このタイミングがチャンスかもしれない。
いやこのタイミングを逃すと辞めるキッカケを失ってしまうかもしれない。
今しかない!
と環境が変わったタイミングで退職を決断する人が多いのです。
だからと言って環境を変えないのがいいというモノでもありません。
この辺りが人事の最も難しいところなんです。
環境を変えるということは大きなリスクを伴います。
環境を変える時は、事前に根回しをして、社員としっかりと合意を取り、将来の働き方などを相談しながら慎重に進めていきましょう。
社員のためを思って配置転換したのに、そのタイミングで辞められてしまったら元も子もありません。
環境を変えることもリスク、変えないこともリスク。
環境を変える時はとにかく慎重にコトを進めるべきです。
レスポンスが悪くなる
メールのレスポンスが悪くなってくる。
提出物の期限が守れなくなる。
これも退職者にありがちな行動です。
会社を辞めようと考えている人は、会社の情報自体に興味を持たなくなってきます。
そのため、会社から一斉配信されたメールなんて目を通しもしません。
ですので、必然的にレスポンスは極めて悪くなってきます。
メールのレスポンスが悪くなってきたら、メールでしかりつけるのではなく、直接声をかけてあげましょう。
実は直接のコミュニケーションを待っていた!なんてこともありますので。
まとめ
退職者の兆候をお伝えしましたが、これですべて網羅できるなんてことはあり得ません。
どんなに注意してみていても、なぜ君が?なぜあなたが?意外な人が退職してしまうという経験を何度もしています。
誰もが退職の兆候を出してくれるわけではありません。
全く匂いすらさせずに辞めてしまう人もいます。
ただ、上述したような明らかな兆候には会社の上層部が気付かないとイケません。
未然に退職を防げたのに、みすみす優秀な社員を流出してしまうという最悪のケースになりかねません。
退職の匂いを感じたら、とにかく早めに動くことです。
一日も早く社員と直接対話することです。
これをやるだけで、退職率は改善されていくはずです。
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