日本型終身雇用は間違っている!
近年はそんな風潮がありましたが、やっぱり終身雇用は正しい!という意見もあります。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190123-00010003-dime-soci
終身雇用の場合、こんなメリットが期待できます。
- 定年まで働ける安心感がある
- 退職金が蓄積される。
- 年功序列で賃金が上がる。
- 愛社精神が芽生えやすい。
- スキルパスが描きやすい。
- 出世の道がわかりやすい。
- 定着率が高まる。
もちろんデメリットもありますが、できるのであれば中小企業も一度雇った社員はできるだけ終身面倒を見たいもの。
ですが、中小企業では大企業型終身雇用を実現することは非常に難しいのが現実なのです。
目次
中小企業は終身雇用を実現できない理由
年功序列の賃金を保てない
大企業型終身雇用の典型ともいえるのが年功序列の賃金。
若いころは安月給だけど、年次を重ねるごとに収入は右肩上がりで上がっていき、50代あたりで年収はピークを迎える。
その後、役職定年などを経て収入は下降し、最終的に定年、再雇用と順調に過ごせば多くの社員はこのような曲線を描きます。
ですが、中小企業だと年功序列の賃金が保てないのです。
まず若い人たちは当然安月給で始まりますが、安いままだと社員は辞めていってしまう。
だからある程度功績を上げた社員は早いうちに給与を引き上げないと、よその会社に出て行ってしまう。
さらにみんなの給料を右肩上がりで上げることはできません。
ある程度の給与になったら、一度頭打ちにして給与を抑えないと利益が圧迫されて経営が苦しくなってしまうのです。
働きの悪い社員まで給料を上げるわけにもいきません。
中小企業は、ある程度フレキシブルな給与体系にしないと、実態にそぐわなくなってしまうのです。
退職金を積み立てられない
退職金制度を確立できない中小企業は多いのが現実です。
社員からの賃上げ要求に応え、社会保険料の負担に耐えながら経営しているというのに、その上社員の退職金を別途積み立てるなんで無理な話。
そんな余裕があるのなら、資金繰りに回してるわ!という声はよく聞きます。
退職金制度は企業にとって絶対に採用しなければイケないものではありません。
退職金制度って実は会社で採用してくれてるだけで有難いものなのです。
資金繰りに苦しんでいる中小企業では、退職金にまで手が回らないものなのです。
不採算部署を作れない
大企業の場合、業績が悪い社員、体調や精神的バランスを崩してしまった社員のための不採算部署を作ることができます。
庶務とか管理部門とか、利益を生み出さない部署です。
この部署に人を回すことにより雇用を維持することができるのです。
大病を患ってしまい、しばらくは第一線で働けないというような社員は、数年この不採算部署で休養を取りながら、第一線への復帰を目指す。
そんな働き方を提供することができるのです。
ですが、中小企業にそんな余裕はありません。
利益を生み出せない社員は、一人たりとも雇いたくない。
総務とか人事は必要だから仕方ないが、庶務担当なんか雇うくらいなら社長が兼務する。
それくらいコストカットしないと経営が成り立ちません。
ですので、中小企業の場合、利益を生み出せなくなった時点で働き場所がなくなってしまうのです。
時短勤務を実現できない
子育て中は時短で働きたい。
大企業であれば、時短でできる仕事を割り当て、子育てが一段落ついたころにフルタイムに戻すという働き方ができます。
でも、中小企業では時短で働く場所を提供できないんです。
どうせ働くのならフルタイムで働いてほしい。
時短でやらせる仕事がないんだよ。
深夜とか働いてくれるなら助かるけど小さい子供がいると無理だよね。
となると働いてほしいけどポジションを作れないのよ。
そんな中小企業の場合、子育てするなら会社を辞めるしか選択肢がなくなってしまうのです。
高齢者の雇用を維持できない
60歳近い高齢者が今後大企業にもあふれてくるでしょう。
ですが、大企業なら60歳以上の社員の受け口も用意されています。
シニアマネージャーとか、シニアコンサルタントとか、シニアになったからこそできる仕事を与えることが可能です。
でも中小企業だとシニアばかりじゃ困ってしまう。
力仕事、肉体労働が多い会社なら尚更。
給料の高いシニアよりも若い体力のある人材が欲しい。
シニアばっかり増えても会社で抱え続けることができないんです。
まとめ
中小企業では大企業型の終身雇用を実現するのは難しい。
ですが、これからは中小企業でも長く働ける文化を築き上げないと社員が流出してしまい、人材確保が難しくなってしまいます。
大企業型ではない、中小企業ならではの終身雇用を実現することができれば、会社の幹を太くすることが出来るはずです。
難題ではありますが、中小企業の経営を安定させるためにも、考え続けていかなければなりません。