社会保険労務士とよく比較されるのが行政書士。
中には社労士と行政書士の違いがわからない!なんて人もいるくらいです。
社労士、行政書士、司法書士、中小企業診断士といった資格は、何をするかピンときにくい資格なので仕方ないのかもしれません。
ここでは社労士と行政書士にスポットを当てて、どちらが役に立つのか?という視点で見ていきます。
目次
社会保険労務士と行政書士どちらが役に立つ?
社労士と行政書士の特徴
社労士の特徴は?
まず社労士の特徴から見ていきます。
社労士の場合、独立開業してバリバリと事務所を経営している先生もいれば、勤務社労士として会社員として働いている先生が多いのが最大の特徴です。
2018年3月時点のデータが以下になります。
社労士登録者数 41,180人
開業登録者数 23,725人
勤務登録者数 15,221人
全体の36%は勤務登録している社労士先生なのです。
しかもこれは社労士会に登録している先生の数です。
実際には社労士試験に合格してるけど登録していない方も多いのではないでしょうか?
その数を考えるとおそらく全体の半数弱は会社員として働いていると考えてもイイかもしれません。
つまり社労士は独立開業も出来るけど会社員としても価値を発揮する資格。
ですので、いきなり独立開業という考えではなく、自己啓発・収入アップ・就職転職・出世、こういった感覚で資格を狙っている人は社労士が向いています。
行政書士の特徴
逆に行政書士の場合正確なデータはないんですが、会社員として行政書士の業務をしている人はほとんどいないのではないでしょうか?
行政書士に勤務行政書士という制度はありませんしね。
社労士の場合は、社内の総務部門として活用できますが行政書士は、たまに発生する役所への登録業務くらいですので、会社内では資格の特性を活かすことは難しい。
漫画カバチタレの大野事務所のように、行政書士の有資格者を社員として働かせるような大きな事務所はあまり多くありません。
ですので、行政書士を取得するのであれば、開業してなんぼの資格と考えるべきでしょう。
もちろん、行政書士の業務が軌道に乗るまでは、会社員として本業をやりながら副業として行政書士に取り組むというスタイルは全然ありなんじゃないでしょうか?
つまり絶対に独立して自宅で仕事したいという人は行政書士。
会社員・独立両方考えているという人は社労士が向いています。
社労士と行政書士どちらが難しいか?
双方の試験の合格者と合格率は以下のようになっています。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
社労士(平成30年) | 38,427人 | 2,413人 | 6.3% |
行政書士(平成29年) | 40,449人 | 6,360人 | 15.7% |
受験者数はどちらもほぼ同じ4万人程度。
ですが合格者数は行政書士の方が3倍近く多くなっています。
数字だけ見ると行政書士より社労士の方が難しいのでは?
と感じるかもしれませんが、あながちそうでもありません。
社労士試験は選択式試験と択一式試験に分かれていますが、どちらもマークシート方式です。
一方の行政書士試験は、択一式問題と記述式の問題がありますので、試験対策としては行政書士試験の方が大変かもしれません。
以前、同じ年に社労士と行政書士試験をダブル受験し、社労士のみに合格された方に話を聞いたところ、その年は断然行政書士の方が難しかったとのことでした。
社労士の場合は、労働法と社会保険に関する法律からの出題となっていますが、行政書士の場合は憲法と行政法、民法がメインとなっています。
民法だけでもかなり幅広く対策は容易ではありません。
ですので、どちらが難しいかは数字だけでは判断できません。
個人的には、社労士試験の方が全問マークシートの分、初心者でも合格に近い資格なんじゃないかと感じています。
ですが社労士試験の場合受験資格をクリアする必要があります。
その点行政書士には明確な受験資格はなく誰でも挑戦することが出来ます。
学歴とかがなくて受験資格がないという人は、行政書士に挑戦してみましょう。
社労士と行政書士両方取ったらどうなるか?
社労士と行政書士どっちを取ろう?
って迷っているのであれば、いっそ両方取ってしまいましょう!
前述したとおり、社労士には社労士の特徴があり、行政書士には行政書士の特徴がある。
それならば二つまとめて取得してしまえば、双方の利点を活かすことも出来るのです。
とはいえ、社労士じゃ食えないから行政書士も、行政書士じゃ仕事取れないから社労士も・・・
という考え方ではいくら資格を重ねたところで意味がありません。
社労士として活動しているけど、行政書士部門の依頼が多くなってきた。
行政書士の仕事をしてるけど、知人の会社から社労士の独占業務も依頼されている。
または、社労士資格を取って就職転職に活かしたい、でも将来的な独立のために行政書士を取っておきたい。
そんなポジティブな考えの人は、両方取ってしまいましょう。
社労士だけでも強力な資格なのに、そこに行政書士が加わればさらに地盤を固めることができるはずです。