社労士に限らず、資格を取得することで資格学校や塾の講師で活動するという道もあります。
実際に社労士も大手資格学校ではカリスマ講師と呼ばれる人を抱え、そのカリスマ講師は相当な収入を得ることが出来るようです。
もちろん講師にも格差があり、ピンとキリでは収入にも大差があります。
しかも講師という仕事は、人気商売的な部分もありますので、旬がありそれほど長く続けられないという悩みを抱えている人も多いようです。
はたして資格学校の講師をやっていた人が、いきなり実務家に転身して成功することはできるのでしょうか?
資格学校の講師からの転職
あるITスクールの講師の例
転職フェアでこんな経歴の方が転職活動をされていました。
年齢は40代後半の男性。
現在の職業は、ITスクールの講師。
講師歴はもう20年近く。
主にデータベースとネットワークを教えているそうで、当然のようにデータベーススペシャリストとネットワークスペシャリストの資格を保持していました。
しかもその資格を取るだけでなく当然ながら教える側ということで、知識に関してはかなりのレベルだったはずです。
そんな彼の現在の年収は700万円。
十分満足いく金額かと思いきや、年収には全然納得していないとのことでした。
講師という仕事の限界を感じもっと年収を上げたいため、スクールの講師ではなく実務家として転身したい。
講師として培った知識を実務で活用したい。
これが転職活動の主な理由だったようです。
しかし、いざ深く話を聞いてみると、確かに知識は素晴らしい。
でも、実務でデータベースを設計したり、構築したり、運用したりという実績は一切ない。
しかも一般の現場では、OracleだとかMySQLというようなデータベースがよく利用されていますが、そのようなミドルウェアは一切触ったことがない。
まったく実務経験がないんです。
40代後半、資格も知識もあるけど実務がないんじゃ・・・
要件定義とかの経験もなければ、設計書も書いたこともない。
実機の構築をしたこともなければ、トラブルシューティングの経験もない。
これだと半分未経験者扱いになってしまいます。
もちろん全くの未経験ではないため、そこまで買いたたかれはしないとは思いますが、せいぜい転職に成功したとしても年収は500万円台がいいところでしょう。
一般のIT系企業ならどう考えても年収700万円は出せません。
ですので、その方には申し訳ありませんが、今の年収を維持したいのなら今の会社に残るか?ほかの講師のあてを探した方がいいですよ。
とアドバイスしたところ、不機嫌そうにブースから出ていきました。
実務家と講師の違い
講師と実務家は根本的に全くの別物です。
年金博士と呼ばれる北村庄吾先生のように実務家(というか経営者)としても、資格学校クレアールの講師としても活躍されている多彩な方もいますし、実務の傍ら講師をやっている先生は数多くいます。
ですが、講師だけを数十年間選任でやってきたのであれば、実務家に転身するのは容易なことではありません。
講師に必要なスキルは、専門知識、かみ砕いて教える分析力、人前で話すプレゼン能力、会話力といったところでしょうか?
一方実務に必要なのは、もちろん専門知識もそうですが、何よりも経験なのです。
「学問なき経験は、経験なき学問に勝る。」という言葉もありますが、経験に勝る知識というのは残念ながらありません。
資格学校の講師が実務家に転身して成功するためには、経験を積んでいくしかないのです。
講師をやっていたから知識はあるし!というだけで、高待遇で転職活動で迎え入れられるということはあり得ないと思った方がいいです。
資格保持者の転職活動
資格を持っているだけでは、高い年収で転職することは難しいのは当たり前です。
資格は知識をアピールするためのツールであり、経験を担保するものではありません。
ですので、資格取得後にどうやって経験を積んでいくかが転職で成功するカギになってきます。
せっかく難しい資格を取得したのですから、どんどん経験を積んでいく活動をすべきです。
社内で積極的に経験を積むこともできます。
さすがに部署が違えば手続き業務は難しいかもしれませんが、労務管理や教育、採用などの分野に協力することは可能です。
社内での経験が難しいのであれば、会社の仕事以外の時間を利用して経験を積むこともできます。
資格にプラスアルファの箔をつけるためにも、資格取得後はアクティブに動いていくことが大事なんです。
止まっていたらせっかくの資格が錆びついてしまうだけ。
資格を活かすためには、自分が活動的にならなければいけないということです。