転職を考えている人は、とりあえず大手転職サイトへ登録することでしょう。
転職サイトにログインすると、人材難を象徴するように数多くの求人が掲載され、登録しただけでオファーも数多く届きます。
特に人材難が顕著な、医療、看護、介護、IT、物流、飲食という業界は数多くのスカウトがくるはずです。
転職サイトに登録している会社は、あの手この手で転職志望者の目を引き、自社のアピール欄へ導こうとします。
残業一切なし!とか賞与は年3回!だとか。
そんな求人サイトのキャッチコピーの中にいくつか注意してほしいキーワードがありましたので、ここではそんなちょっと怪しいキーワードをピックアップしてご紹介します。
目次
転職サイトで注意したいキャッチコピー
年間休日136日
この会社は年間の休日数をアピールしていく方針のようです。
休日をアピールしている会社はほかにありますが、大体120日以上となっています。
それもそのはず、2018年の休日数を見てみましょう。
2018年は国民の祝日が土日にかぶっているケースも多いため、純粋に休める土日祝日の数は117日です。
そこに夏季休暇を5日分、年末年始休暇を5日分プラスしても休日数は127日です。
さらに創立記念日、リフレッシュ休暇、健康診断のための休日など会社の独自の休日を足しても130日が精一杯なのではないでしょうか?
136日というとプラス6日ありますので、この会社の休日数はちょっと異常です。
というのも、年間130日の休日に加え、会社員は有給休暇の権利を保持しています。
計画的付与を採用していない会社の場合、社員は最大20日の休暇を取りますので、休日が136日だと年間休暇は156日となってしまいます。
こんなに休めるのって理想かもしれませんが、これじゃ普通に業務が回りません。
休日に休暇を含んでいるのか?
もし休暇を含んでいるのであればちょっと悪質なアピールと言えるでしょう。
年間休日数は、125日前後が一般的な数値です。
この数値を明らかに上回る、また大きく下回るという場合はしっかりと事前に確認しておくべきでしょう。
創業以来黒字経営
創業以来黒字経営というのは、見た目悪くはありませんが、会社の経営は黒字だからいいというものでもありません。
黒字とはいってもここ数年業績は伸び悩んでいて、減収減益でも黒字は黒字というケースも考えられます。
企業というのは、日々成長を続けていかないと停滞してしまい、市場から排除されてしまう性質を持ち合わせています。
目先の黒字ばかりを追うよりも、一度踊り場を作って成長を目指すという経営方針もあります。
黒字だから大丈夫!と安易に受け入れてはいけません。
無借金経営
これも上記の黒字経営と同じこと。
無借金経営も特に胸を張るようなものではないのです。
逆に企業は勝負どころでは大きな投資をして事業を拡大する必要があります。
ソフトバンクが事業を拡大する時も、市場から資金調達し莫大な借金を背負って勝負に出ます。
だからこそ日本を代表するような大企業にまで成長したと言えます。
無借金経営ということは、事業を拡大する気はなく、こじんまりと身の回りで経営したいという思いの表れです。
転職志望者向けに発信するようなアピール項目ではないのではないでしょうか?
時間外手当100%支給
そもそも時間外手当は100%支給するのが当たり前です。
100支給することをアピールする。
ということは、今まで100%支給していなかった?もしくは他社は100%支給していないと思っている?もしくは・・・
などいろんな疑問が湧いてきます。
もちろん、これから導入が予定されている高度プロフェッショナル制度や裁量労働制を採用している会社は時間手当という概念がありません。
そんな制度と比べているのかもしれませんが、なんともいただけないキャッチコピーです。
賞与5か月分
賞与5か月分ということは、おそらく夏季と冬季合わせてなのでしょう。
ということはどちらも2.5か月分。
これってそれほど多いとは言えませんよね。
そもそも賞与の率を高く設定している会社は、毎月の基本給の額を極力少額に設定し、その分手当の額を増やします。
ですので、賞与5か月分といってもそれほど大きな額にはならないんじゃないでしょうか?
さらに賞与って、業績が悪ければそもそも支給することができません。
高い賞与にひかれて転職したはいいが、賞与が出なくてむしろ年収は下がったなんてよくある話。
今どきの転職志望者は、賞与額の大きさには惹かれないんじゃないでしょうか?
業界最高水準の「給与還元率」
これはIT系のエンジニア募集でよく見るキャッチです。
IT系のSES、派遣をメインとしている会社は、自社のエンジニアを各企業に常駐させて売り上げを得ます。
その時の契約単価が多ければ多いほど給与に反映しますよ!という会社です。
確かにエンジニアにとっては、高い契約を取ってきつい仕事をしてるんだから、それを給与に反映してほしいと思うのも当たり前。
この制度を導入すれば収入は自ずと上がります。
ですが、高い単価を維持できればの話です。
単価が高くプレッシャーのきつい仕事は、そんなに長く続けられるものでもありません。
どこかで身体もしくは精神を蝕まれ、ちょっと気楽な案件にシフトする、最悪の場合しばらく現場に出られなくなるということもあるのです。
そうなってしまうと収入は激減します。
またプロジェクトが終了してしまい、いわゆる待機になってしまった場合も収入は下がります。
さらにいくら会社に勤めていてもずっと現場に出続けるしかありません。
決して悪くない制度なのですが、自分のスキルと将来をしっかりと見据えて会社を選んでほしいところです。
入社3ヶ月は社内で充実した研修を実施
これもIT系のSES、派遣系の会社で多くみられるキャッチコピー。
業界未経験者を教育して、現場に配属させる。
3か月はみっちり研修を受けて、スキルを身に着けた上で現場配属となります。
と言ってはいますが、IT業界の人材難は深刻です。
そのため、入社後3か月研修のはずが1か月くらいでいきなり現場に放り込まれるなんてこともよくある話です。
というのも、会社にとって研修中の社員なんて売り上げにならない厄介者。
一日も早く現場に配属させて売り上げを確保してほしい。
それが経営側の思いです。
研修期間はあくまでも目安と考えた方がいいです。
もし、絶対に3か月研修は譲れない!というのであれば、その思いはしっかりと会社に伝えましょう。
まとめ
求人サイトのキャッチコピーは、あくまでも転職者の興味を引き付けるための撒き餌です。
そのため、味付けの濃い良い香りのするコピーを考えては、求人サイトに掲載し続けます。
一番大事なのは、その会社の本質です。
本当に社員を大事にしようとしているのか?
社員を受け入れて定年まで面倒見る気があるのか?
その思いが求人に含まれているのか?
その思いがあるのか?ないのか?
実際には会社に出向いて面接をして話をしてみないとわからないかもしれません。
転職サイトのキャッチコピーを鵜呑みにせず、自分の感性を磨いて出来るだけ長く勤められる会社を選んでください。