会社を退職する時、溜まっていた有給休暇を消化してしまう人は多いと思います。
会社としては有給休暇を取得することは社員の権利ですので、在籍中にすべて取得させてくれと言われたら覆すことは出来ません。
ですが、引継ぎもまともにせず権利だけを主張する行為はあまりよろしくありません。
では、有給休暇の消化期間中に他社へ転職してしまってもよいのでしょうか?
有給消化中の転職
法律的には?
まずここでは20日有給消化が残っている社員が残りの1か月ですべて使い果たすという前提で話を進めます。
20日間有給休暇が残っていて、すでに転職先が決まっている。
最後の1か月は丸々休みなので、全部ダラダラ過ごすのはもったいない。
だからその1か月が無駄にならないように転職先に転職を決めてしまおう。
という行為ですが、法律上はさほど大きな問題はありません。
現在は副業を認める会社も多くなっているため、二つの企業に在籍するという方も増えてきているかもしれません。
気になる社会保険ですが、二つ在籍している会社の両方で要件を満たす場合は、その両方で社会保険に加入となりますので、双方の会社で手続きが必要になります。
保険料は、双方の企業の賃金の合算額で計算され保険料は各社で按分という形を取ることとなります。
雇用保険は二重で加入することはできませんので、従前の企業を退職後に新しい企業で手続きをすることとなります。
賃金は?
従前の企業の賃金は有給休暇中となるためおそらく満額で支払われるでしょう。
さらに転職先の会社でも給与が発生するためその月はダブルワーク同等の収入を得ることが可能となります。
前の会社を休みながら新しい企業で仕事をして双方から賃金を受けられますので、額面的にはかなりの額となるでしょう。
就業規則を確認
もちろん法律的には可能なんですが、従前の企業の就業規則をキッチリと確認しておきましょう。
副業が禁止の会社であればそもそも二つの会社をかけ持つことは許可されません。
さすがに有給休暇消化中に他社への転職を禁ずという規則を定めている会社はあまり多くないとは思いますが、同じような規定がある可能性はあります。
退職手続き完了するまで他社への移籍は禁ずというような規定があれば、それに従った方がいいですので、就業規則は事前に十分チェックしておきましょう。
モラルとしては?
法律的に問題がなくても、有給休暇消化中に他社へ正式に移籍することは避けるべきと筆者は考えます。
給与の発生しない研修やインターンのような形なら問題ないとは思いますが、在籍中に完全移籍するというのはあまりいただけません。
というのも有給休暇というのは、従前の会社が付与している休暇です。
会社は1か月も勤務しない社員に対して給与を支払っています。
当然の権利と言えばその通りなのですが、会社としてはこれまで長く勤めてくれた感謝を込めて有給休暇を与えているという側面もあるのです。
企業によっては退職前の有給取得をなるべくさせないような施策を取っている会社もありますし、会社からすれば歓迎する行為ではないのです。
ですので、仮に転職先が決まっているとはいえ、在籍期間中はしっかりと従前の会社に対して恩義を尽くすべきではないでしょうか?
まとめ
有給紹介中の転職というのはあまりおススメできません。
仮に転職先の会社から仕事に慣れる環境に慣れるためにも有給消化中に来て欲しいとの誘いを受けた場合は、完全な移籍ではなく研修レベルでの参画をお勧めします。
転職先へ移籍するためには、円満に従前の会社を退職する必要があります。
自ら揉める火種を作って辞めるような行為は自粛するべきでしょう。