労働者が何らかの事情で会社に出勤できなくなる場合、休職制度を採用している会社も多いはずです。
休職期間中で一番考慮しなければいけないのは、社会保険料なのですが、休職期間中の社会保険料に関して就業規則で定めていないという話もよく耳にします。
ここでは休職期間中の社会保険料に関してご説明します。
休職期間中
休職制度の定め
社員が長期間出勤できなくなるというのはよくある話です。
- 業務災害による休業
- 業務以外の病気による休業
- 介護による休業
- 育児による休業
- その他諸事情による休業
ですので、現在の就業規則に休職制度の定めがない場合は、後々の事も考慮し定めておくことをお勧めします。
さて同じ休職でも育児休業の場合は、社会保険料の免除が認められていますがそれ以外のケースでは、原則社会保険料の個人負担分の支払いが生じます。
この個人負担分をどうやって支払うか?
こちらも合わせて就業規則に定めておくといいでしょう。
本人に支払ってもらう
基本的には、休職中の社会保険料の個人負担分は、個人で毎月支払ってもらった方が会社的には楽です。
もちろん社会保険料の支払いは、会社が実施しますので毎月会社に振り込んでもらうなどしてもらうといいのですが・・
休職するということは、大抵何かネガティブなことがあったケースです。
例えばよくあるのが精神疾患を発症してしまい長期間の休みになる場合です。
こんなケースでは、働いて収入を得ることが出来なくなりますので、当然の事ながら金銭的には苦しくなるでしょう。
健康保険から傷病手当金が出ますが、休職前の給料の約3分の2程度の収入となります。
病院に通いながらの生活で、収入が3分の2になるのですから暮らしが楽なはずはない。
そんな社員に毎月社会保険料を振り込め!というはちょっと気が引けてしまうものです。
会社が立て替えて後日支払ってもらう
毎月振り込んでもらうのはさすがに気の毒だろう、ということで多くの企業では休職中の社会保険料は立て替えているケースが多いのではないでしょうか?
個人負担分も会社が立て替えて支払い、復職後に毎月の給与から立て替え分を少しずつ控除する形を取ってもらうと、社員側は助かるでしょう。
ですが、注意しなければいけないのは、そのまま復職出来ないケースです。
立て替え払いの場合、復職できなければ退職前に一括して返済してもらう必要がありますし、最悪の場合立て替え分を回収できないこともあるでしょう。
ですので、休職は予め期間を定めておく必要があります。
際限なく休職扱いにしてしまうと、2年、3年と立て替え分が蓄積していきますので、最長でも1年程度にしておくべきでしょう。
労災の場合
労災で休職している場合は、労災から休業(補償)給付が支給され、さらに長期の療養が必要になった場合は傷病(補償)給付へと切り替わります。
そしてこの間も残念ながら社会保険料の負担は生じます。
業務災害で休んでいるのになんで社会保険料の負担があるの?
まぁ考えてみれば簡単な話なのですが、業務災害で療養中でも風邪を引いたりするものです。
風邪を引いた時、労災の病院へは行きませんよね?
近所のクリニックに行くはずです。
その時は、労災ではなく健康保険からの支払いになるのです。
だから社会保険には継続して加入する必要がある。
なので、社会保険料の個人負担は発生するのです。
労災の場合、休業補償給付と特別給付を合算すれば、従前の給料の約8割を受給することが出来ます。
労災の療養の場合は、長期間になる可能性もありますので、立て替えではなく都度支払ってもらう形を取った方が双方のためにも良いかもしれません。
まとめ
休職期間中の社会保険料は、後々モメることが多い事例です。
ですので、この辺りに関してはキッチリと就業規則に定めておくことをお勧めします。
労使双方のためにもなることですので、漏れの内容注意しましょう。