平均賃金を計算する時ちょっとややこしいのが各種手当です。
ここでは平均賃金を計算する際に含めるもの、含めないものをご紹介します。
極力簡潔に説明していきますので、専門用語はなるべく使わないようにしていきます。
平均賃金
平均賃金って何?
平均賃金って何かというと、平均の賃金っていうくらいだからそれほど難しくありません。
平均賃金を計算しなければいけない日からさかのぼって3か月間にどれだけ給料が支払われたか。
1日あたりいくらもらっているか?を計算して、その金額を使っていろいろな処理をするために必要な値です。
平均賃金を計算する時
それでは平均賃金ってどんな時に計算が必要なのか?
労働基準法で下記のケースが発生したときに必要になります。
- 解雇予告手当
- 休業手当
- 年次有給休暇の賃金
- 災害補償
- 減給の制裁制限
まず1は、そのまんま。
原則解雇する時は30日前に予告が必要です。
その予告手当金を支払う場合に1日分の平均賃金を計算して、30日分を支払う形になります。
2の休業手当は、使用者の責めに帰すべき休業、わかりやすくいえば経営者のせいで会社が休みになったときの手当ての計算ってこと。
経営不振で営業できない時とかなんですが、そんな時に手当てを支払わなければいけないって・・・切実なケースですね。
3の年次有給休暇中の賃金ですが、有給休暇中の賃金を平均賃金で支払うと就業規則に定められているときに必要になります。
一般の会社は有給休暇の賃金は通常の賃金にしてますので、このケースではあまり使用しないでしょう。
もちろん中には平均賃金で計算した方が有給休暇中の賃金が安くなる!ということで、わざわざ計算している会社もあるのでしょうが、あまり聞いたことはありません。
続いて災害補償。
これは労災事故が発生した時に必要になります。
労災事故の場合、休業補償給付というのが労災から支給されますが、支給されるには3日間の待期期間が必要になります。
その待期期間の給料を計算するのに平均賃金が必要なのです。
実務ではこのパターンが最も平均賃金の計算に多く使うかもしれません。
最後に減給の制裁ですが、世間一般でいう罰金ですね。
会社で不始末をしてしまい罰金を取るなんて時、労働基準法では1回の金額が平均賃金の半額を超えてはいけないとなっています。
その際に平均賃金を使います。
一般の会社は平均賃金の半額以上取ることは少ないとは思いますが、超えている場合は要注意です。
平均賃金の計算方法
平均賃金は、算定すべき事由が発生した日以前3か月の給料を総日数で割ります。
簡単に言えば、労災事故を起こした日より3か月前に毎月30万円もらってた。
となれば30かける3か月で90万円。
で計算を簡単にするためにその期間の日数は90日だったとします。
となると90万円わる90日で1万円となります。
てことはその人の平均賃金は1万円。
細かく見ていくとややこしいのですが、原則はこれです。
キモは総日数で割るというところ。
総日数ということは、土日や祝日も含まれてしまいます。
平均賃金計算前の休みを除いてくれたらもっと平均賃金が高くなるのに・・・と思うかもしれませんが、これは労働基準法で決まっているため仕方ないのです。
各種手当は?
で気になる各種手当ですが平均賃金の計算に含むかどうか?となると含みます。
歩合給だろうが、通勤手当だろうが、家族手当、残業手当だろうが。
労働基準法に規定されている賃金であれば含まれます。
ただ臨時に支払われた賃金とか3か月後超える期間ごとに支払われる賃金は含まれません。
臨時というのは、突発的に支給された賃金ですね。
細かい規定はあるんですが、わかりやすく言うと会社からのお見舞金だとか結婚手当てだとかがそれにあたります。
3か月を超えるというのは一般的には賞与の事。
平均賃金を計算する事象が発生する前の月が、たまたまボーナスの支給日だった!という場合もその金額は含まれないのでご注意ください。
まとめ
平均賃金の計算をする機会はそれほど多くないでしょう。
ですが、減給の制裁を行った際に、後から気付いたら平均賃金の半額を超過していたとなると、後ほど問題が大きくなるケースもあります。
ですので、原則だけはしっかりとおさえておくことをお勧めします。
労働者側も自分の身を守るために必要な場合もありますので、最低限の知識だけはしっかりと把握しておくといいでしょう。