業務時間外のケガ
業務遂行性と業務起因性
業務上や通勤中のケガや病気が労災に認定されるかどうかは、業務遂行性または業務起因性があるかどうかで判断されます。
ちょっとわかりにくい言葉ですので、かみ砕いて解説しておきます。
業務遂行性
働いていることが原因になったかどうか?
仕事中なのかどうかという意味合い。
業務と直接関係があるかどうかと考えていいでしょう。
業務起因性
業務がケガや病気の原因になったかどうか?
仕事が原因なのかどうかという意味合い。
仕事が原因でその後病気になったというケースが当てはまると考えて下さい。
労災認定
例えば休憩時間中に会社の階段から足を踏み外して転んでけがをした。
この場合、休憩時間って本人の自由だよね?
仕事してないから労災にならないんじゃ?
と思われるかもしれませんが、休憩時間が終わればそのまま仕事につかなければならない。
しかも会社の中ですから、業務の一環ではないか。
ということで業務遂行性があると考えられるのが一般的です。
仕事中の直接のケガではなく、過度な残業等が原因で精神を患ってしまい重度のうつ病になってしまった。
これは仕事が原因で病気になった可能性が大いに高いため、業務起因性があると考えられます。
このように業務遂行性と業務起因性という判断基準は、明確ではありません。
労基署が総合的に判断して、ケガや病気を労災と認定するのです。
ですので、この病気やケガは労災じゃないよね?と安易に判断してしまうのは危険です。
まずは顧問の社労士がいるのであれば社労士に、いない場合は労基署やお近くの社労士に相談してみてください。
業務時間外のケガ
今回の問い合わせでは業務時間より前に出社して事故にあいました。
業務時間外のため労災じゃないのでは?
と思われるかもしれませんが、業務時間外でも事業場内での事故ですので業務遂行性が認められかなり高い確率で労災認定されるでしょう。
もちろん、あまりにもかけ離れた時間外の場合、労災認定されない可能性はなくもありませんが、さすがにそんな時間に来る人はいないでしょうから。
事業場内は、事業者の指揮管理下にいると考えられますので、社員が出社している以上しっかりと管理しなければいけません。
必要以上に早く来る社員は?
でもさぁ、あの人定時に来ればいいって言ってるのにいつも1時間以上も前に来るんだよ。
どうにかならない。
確かに、会社には定時というものが存在しますので、今回のような事故がある可能性もありますので、あまりに度が過ぎる行為は控えてほしいところかもしれません。
9時出社のところ7時台に出社しても、その2時間は自主的な時間となり労働時間にはなり得ません。
会社から9時出社だけど早めに来て清掃するように!という明確な指示があった場合は労働時間になりますが、前述のケースは労働時間にはなりません。
ただ高齢者で嘱託勤務のような働き方になると、正直家にいてもやることがないという方は非常に多いようです。
どうせ家にいても仕方ないから会社に行っちゃおう。
会社に行けば誰か話し相手もいるしね。
という行動をあまり責めるワケにもいきませんし、遅くこいと指導するのもいかがなものです。
こんな場合は、やんわりと指導するしかないのかもしれません。
早く来ることを止めるつもりはないけど、他の社員の迷惑になったり、事故があったりしたら困るから節度はわきまえてくださいね。という感じのソフトな指導が適切かと思われます。
まとめ
業務時間外のケガでも労災認定されるケースは非常に高いと考えてください。
何も考えずに健康保険で治療することは、労災隠しと判断される危険性もあります。
労災を隠しても何もいいことはありません。
労働者を雇う以上、労災は必須の保険です。
判断に迷ったらすぐに専門家に相談してください。