先日、業界未経験の女性からこんな質問を受けた。
Excelで2軸(2本)のグラフを作りたいんですけど、どうすればいいですか?
え??それ私に聞く??
検索すればいいのでは??
ググレカスと思ってしまったのだが…
ググレカスはパワハラか?
一昔前のIT業界の人
私がIT関連の仕事を始めたのは15年以上前。
当時は携帯電話は普及していましたが、まだスマホなんかはなく、インターネットは有線が主流だった、そんな時代。
初めて現場に配属された私は、右も左もわからない全くの初心者。
見るものすべてが刺激的だった。
現場に配属された初日、まだ自分用のパソコンは準備されていなかった。
すると先輩の一人が、
「今日はこのパソコン仮で使っておいて。そのうち用意されるから。」
と、貸与されたパソコンを使って資料を確認することになった。
当時見といてといわれた書類は、あるシステムの設計書。
難しい言葉が羅列されていて、なにがなんだかチンプンカンプン。
その設計書で頻繁に出現してきた言葉がクラスタ。
クラスタってなんだ?
これがわからないとどうにも先に進まない。
ここは勇気をもって聞いてみようと、となりの先輩に聞いてみたところ…
「ググればいいじゃないすか?」
衝撃だったww
IT業界に入り初めて受けた指導の言葉が「ググれ」だったのだ。
ITの人たちってみんなこんなに冷たいんだ!とも思ったのだが、その厳しさのおかげで成長できたと今でも感謝している。
仕事は盗むもの
ITに限らず、以下のようなことをいちいち質問されていれば、そりゃ誰でもイラッとしてしまうもの。
- 誰でもちょっと調べればわかることを聞く
- 何度も同じことを聞く
- アカウントやパスワードを忘れてしまう
- 緊急事態なのに事象に関係ないことを聞いてくる
- 逐一指示を仰がないと動けない
しかも、自分が緊急の仕事をしているときや、集中しているときにこの手の質問をされると、ググレカスと突き放したくなるもの。
ググレカスはIT業界では立派な指導の言葉だ!
仕事は教えられてもいいが、技術は盗むもの。
人に尋ねてばかりでは技術力は磨かれない。
みんなそうやって成長してきた。
だからこそExcelの質問をしてきた女性にもググれ!と指導したかった。
だけど飲み込んだ。
それは困っている社員に向かってググれ!は、ちょっと厳しすぎる発言と取られる危険があるからです。
言葉使い
働き方改革の推進やパワハラ、セクハラを防止し、より働きやすい環境を!と昨今各企業が取り組んでいます。
ですので、古き良き職人気質の文化というのは、今後改善していく必要があるのかもしれません。
業界で当たり前に使われていた言葉でも、言い方ひとつで労働者が不快に感じることもあり、それが心身的なストレスにつながる危険もあります。
ググれ!という言葉も、ちょっと手が離せないから自分で調べてみてもらっていいなか?それでもわからなければもう一度聞いて。
こう言いかえるだけで、印象派ガラリと変わります。
面倒な世の中になったと思わず、社員を傷つけないためにも、これから上司、また上司になるような方は言葉使いに十分気を付けるべきでしょう。
怒られなれていない世代
平成も早いもので30年です。
平成元年生まれの人たちが、今や中間管理職になるような時代。
昭和生まれの私たちは、もはや時代遅れの老害なのかもしれませんねw
今の若いものはなんて言葉を使うと、完璧な老害ですが、さすがにギャップを感じることは、今の世代は怒られるのに慣れていないということです。
私たち団塊ジュニア世代から前の人たちは、教師に指導の一環で叩かれるなんて当たり前の時代でした。
宿題を忘れたなんていうと廊下に立たされ、ちょっと悪さをすれば即座に平手打ちが飛んできた。
放課後に数時間居残りで説教され、ビシビシと厳しく指導される、そんな時代を過ごしてきました。
ですが、もうそんな時代は遥かかなたの昔話。
今の時代は、教師が手をあげたりしたら即座にYahoo!ニュースです。
声を荒らげて教育したところを見られても、下手すりゃ問題に発展する可能性もある。
若い世代の人たちはそんな学生生活を過ごしてきたのです。
こんな時代を生きてきた人たちに、社会人になったからといっていきなり厳しい指導をしてしまっては、そりゃつぶれるのも当たり前。
学校教育も長い年月を経て変化を遂げてきた。
会社での教育も、もはや変わらなければいけない時代になっています。
上司や先輩が威厳と脅威で押さえつける時代ではないと考えたほうがいいでしょう。
まとめ
ググレカス、この言葉単なるネットスラングではなく、実は深い言葉なんだと思っています。
ググレカスという言葉を長文で説明すると、
「それオレに聞く?別に教えてあげてもいいけどさ、人に教えてもらったことなんて絶対に自分の身にならないよ。
まずわからないことがあったら自分で調べる。
調べても調べてもどうしてもわからない。
そこまで行きついたらもう一回オレに聞きなよ。
そん時に丁寧に教えてやるよ。
別にオレは意地悪して教えないワケじゃないんだよ。
なんでもかんでも人に聞いてたんじゃ成長しないじゃん。
自分で調べて正解にたどり着こうと努力すること。
それが自分のスキルを磨く一番の方法なんだよ。
だから教えないんだよ。」
という意味が込められているw
そんな深い言葉だというのに言い方次第ではパワハラにつながる。そんな時代。
指導とパワハラは紙一重。
上司になったらこのことを常に念頭に置き行動しなければいけないのです。