毎日電車遅延で遅刻する社員を処罰できる?始業時刻前の出社命令は?

オレオレ社長
先生、また困った社員がいてさぁ。
社労士
いろいろ大変ですね社長。今度はどうされましたか?
オレオレ社長
先日入社したK君なんだけどほぼ毎日電車遅延が理由で遅刻してくるんだよ。
社労士
ほぼ毎日というのはいただけませんね。
オレオレ社長
そうなんだよ。そりゃたまになら仕方ないけど都内の電車なんて時刻表通りに来ないのが当たり前じゃない?

同じような地域に住んでるA君はちゃんと来てるのに。

社労士
全くその通りですね。

遅刻の取り扱い

電車遅延による遅刻

日本は労働者天国と呼ばれることもありますが、よほどのことが無い限り懲戒解雇が認められる事が無いのは周知の事実です。

ですが、欠勤や遅刻などの勤怠に著しく不良がある場合は、最悪のケース懲戒の対象となることもありますので、その辺は労働者もしっかりと認識しておかなければいけません。

さて、本題の電車遅延での遅刻の件ですが、これって業務に対する取り組みの姿勢がハッキリと上司および経営者に伝わる身近な事例だったりします。

例えばこんな例を耳にしました。

ある建築会社で重要な取引先の仕事を請け負ったそうですが、急な納期でどうしても土日の2日間で作業を終わらせて欲しいと依頼だったんだそうです。

大事な取引先だったため、建築会社はベテラン作業者のAさんとBさんの2名に仕事を依頼することにしました。

しかしあいにくその週の土曜日は大雪の予報。

作業者のAさんは、大雪の予報を事前に把握し、タイヤチェーンを装着して、通常よりも5時間近く早く家を出て十分余裕を持って現場に到着し、予定通りに作業を開始しました。

一方のBさんは、予定時刻になっても一向に姿を現さない。しびれを切らした建築会社の担当者がBさんに連絡したところ、大雪の悪天候なので、てっきり中止だと思っていた。今から行くにもこの悪天候じゃ車を出せない。との回答があったらしい。

建築会社の担当者は、今からBさんの到着を待っている余裕は無いため、作業はAさんと担当者の2人で実施し、無事納品することができたそうです。

かなり極端な例ですが、ゆとりを持って現場に来ている人と、何かあったら現場にこれないくらいギリギリで到着するような人では、上司や取引先からの信頼感が大きく変わってしまうという事です。

何事もゆとりを持って行動する。何かあった時のために前もって準備しておく。これが会社の仕事につながる。つまりは出勤態度イコール仕事の出来不出来にも繋がってくると思われても仕方ありません。

時間単位有給

有給休暇は日単位、半日という規定と時間単位という取得方法があります(時間単位の年休取得は労使協定の締結が必要)。

そのため1時間遅刻するような場合に予め予告しておけば時間単位で年休を取得することは可能です。

ですが、電車遅延で遅刻したというようなケースは年休として処理する必要はないでしょう。

もちろんキッチリと遅延証明書を取得し、やむを得ないような遅延であれば遅刻として処理しなくてもいいでしょうが、慢性的に毎日のように電車遅延で遅刻するような場合は、遅刻として処理すべきです。

始業時刻前の出社強要は?

ゆとりを持って出社し、始業時刻には業務を始められるようにという指導は大いにすべきでしょう。

ですが、15分前に必ず出社するように!というように始業時刻前の出社を強制するのであれば、残念ながらその分は労働時間になってしまいますので、注意が必要です。

9時には業務を始めて欲しいから15分前には必ず出社するように!と定める場合は、8:45を始業時刻と定めなければいけません。

となれば、普段ゆとりを持って出社する社員は、8:30には出社してるでしょうし、いつもギリギリの社員は8:45に出社してくる。

結局は社員の心がけ次第となってしまうのが、もどかしいところだったりします。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です