電通事件を皮切りに各社一斉に残業時間の抑制に動き出しているようだ。
労働基準監督署もこれまで過酷な労働環境を強いられる傾向にあったブルーカラーからターゲットをホワイトカラーに切り替えつつある。
いよいよ本格的な労働時間の削減に国を挙げて取り掛かるようになったと言えるかもしれない。
残業時間
生活残業
だが一方的に残業時間の削減だけを声高に訴えることが果たして正しいのだろうか?
2016年12月12日発売の週刊ダイヤモンドによると、労働者は平均30時間程度の残業代が給料に取り込まれることを見込んで生活をしていて、中には月50時間を見込んでいるという人もいる。
月50時間となると大抵の場合、36協定を超えてしまうが、特別条項に盛り込まれた範囲で残業をしているのだろう。
残業代で月3万円から5万円を見越してい生活している人が、いきなり一斉に残業代をカットされてしまうと明らかに生活は苦しくなる。
となれば、残業規制は社会的には正義なのだが、一般の労働者からみれば迷惑な話なのかもしれない。
残業代を見込んだ給与
それならば残業代を見込んだ給与に会社側が改定すればいいじゃないか?と思われるのかもしれないが、そんなに事は簡単ではない。
会社からすれば残業代は無駄な経費に過ぎない。
既定の給与の範囲内で業務が回るのであれば、残業代なんか極力支払いたくはない。
残業時間を抑制しても業務は回る。であれば今までの残業代なんだったの?残業代の分無駄に残っていただけなら、支払う必要は無いじゃん。そんなもん給与に組み込むなんて話をする方がおかしい。
普通の経営者であればこう考えるはずだ。
残業と競争力
まず残業が必ずしも悪なのか?という目線で考える必要もある。
例えば証券会社のトレーダーなどは、そもそも勤務時間なんて関係ない。
深夜だろうが土日だろうが関係なく市場とにらめっこし、時には自宅でも仕事をしている。
その分彼らは一般のサラリーマンよりも優遇された収入を得ている。
彼らは自分が稼いだ分が、直接利益につながる業種だから稼げるタイミングであれば、いくらだって働く。
彼らにとって日本の労働時間なんて堅苦しいだけ。
そんな海外のトレーダーたちに対抗するために、日本の証券会社の社員たちも同様に残業が当たり前に働いている。
そうしなければ競争に勝てないから。こんな業界まで一律に残業規制をかけてしまうと、競争力はどんどん低下してしまう。
過度な残業が常態化している企業でも、その残業が必要なのか?そうでないのか?の選別はしっかりしなければならない。
こういった時、全て尺定規に一律に実行してしまうと、大きな歪みが生まれるはずだから。
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