何度か残業に関するエントリーを投稿したが、なぜ日本の労働時間が減らないのか明確な理由までは、なかなか見えてこなかった。
しかし、なんとなくわかった気がする。
日本の社会はお客様が神様だからだよ!
顧客市場主義
クレーマー
日本の商売は、どうしても買い手が売り手よりも上位に立つ傾向にある。
ある日知人と牛丼チェーン店に行った時の話。
当時の牛丼は値下がりを続け、一杯290円という底値で各社張り合っていた。
友人は店人入るなり「並、ツユだくで!」と慣れた口調で注文した。
早い安い旨いのキャッチフレーズの牛丼店。
さすがの日本品質。注文からサービス提供までわずか1分足らず。超高速サービスを実現している。
そんな時、筆者の友人は信じられない言葉を口にした。
「おいっ!肉が少ねぇじゃねーか!もっと肉を盛れよ!」
絶句した。
たった290円の牛丼で、肉が少ないなんてクレームをどの口が吐いているんだ!
多少肉くらい少なくしないと経営なんて成り立たない。消費者もそれを承知で安い価格で満足しているんじゃないのか?
それから数年後、これまたとある友人と激安の居酒屋チェーンに行った。
全品数百円程度。高いものでも580円。
生ビールはサービスタイム限定だが、290円で提供されている。
そんな激安居酒屋で友人が頼んだのはしめ鯖のあぶり。
運ばれてきた生ビールを豪快に喉に流し込み、運ばれた来たサバを見て友人はいきなり激怒した。
「メニューの写真と比べてサバが小さいじゃねーか!写真はもっとデカいだろ!」
絶句した。
380円のしめ鯖の大きさが写真と違うだなんて!グラビアアイドルの写真集が実物と違うって言ってるのと同じこと。
こんなクレーマーが横行するのは、お客様が神様という概念が定着しているからかもしれない。
お客様は神様なのか?
「お客様は神様です。」という言葉を世間に広めたのは、五輪音頭で有名な故三波春夫氏だが、この発言が間違って伝わっていると三波氏のホームページで訂正している。
この言葉は、あくまでも演者がオーディエンスに対して発した発言であって、客商売のサービスや営業先を差している訳ではないとのこと。
まさしくその通り。お客様が神様。お金を払ってるんだから何をやってもいい!という言い分は決して通らない。
客は料金に見合ったサービスを要求する。提供元は料金の範囲に沿ったサービスを提供する。
あくまでも五分五分の姿勢でなくては、客商売は成り立たない。
しかし、お客様は神様と教えられるから、ちょっとくらい無理を聞いてしまうし、客もちょっとくらいはと強引な要求をする。
その要求を埋めるためには、従業員の過剰ともいえるサービスが必要になってしまう。
これでは労働時間削減どころから残業はいつまで経っても無くならない。
お客様に最高のサービスを提供するのが仕事ではあるが、過剰なサービスを求められたとき、拒否できる体制を作っていかなければ変わるものも変わらない。
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